紅葉覚え書きその2

アラフィフの判断は素早く的確だ。ムラカワ君のジムニーに乗り込むだけでも思い切り濡れちゃう雨降りのなか、本日はドライブということに衆議一決。ムラカワ君はとっておきのダブルトラックへと愛車のハンドルを切った。
米代川沿いの道から、なんとなく方向感覚を失う道を走る。というのも花輪線十和田南駅でスイッチバックするらしく、ムラカワ君が採ったルートは北上からいつの間にか西へと向かっていた。たどり着いた駅は、土深井という無人駅。民家の中にひょっこりあるこの駅を見てから、ジムニーはダブルトラックへと突入していった。
もともとは二人で走ろうというプランだったこの道は、すれ違うクルマもないまま徐々に標高を上げていく。抜けているので廃道ではないようだが、ジムニーの腹を綺麗にするくらいには草ボーボーだ。ましてや雨。泥除け車で来てはいるものの、無理に走りたい天気ではなかった。熊が出ても安心な鉄の箱に乗せられて峠を越えると、そこは昨年連れてきてもらった尾去沢鉱山跡だった。
方向感覚を失わせてもらうにもほどがあるのだが、いま通ったダブルトラックは南へ進む道だったのか。びっくりしながら、ムラカワ君の運転に身を任す。
続いては彼の会社をかすめて水晶山へ。豪雪地帯の鹿角市のこと、ここも冬には立派なスキー場らしいのだが、今は誰も通らないダートが山の上へと続いている。「ここが寅さんのロケ地です」と彼が教えてくれたのは、テレビの中継アンテナの立ち並ぶ水晶山の頂上だった。

いかんせん、ドライブでは大人2人の昼間はつぶせない。そこでムラカワ君は大好きな温泉に行くプランを提案してくれた。行き先は大館方面と言われたが、もう方向感覚がなくなって久しい。サイクリストとしては悲しいことだが、今日はアナタマカセで楽しませてもらおう。目的地は別所温泉と聞いた。ムラカワ君のことだから、素敵な温泉に違いない。