石原隊長

自転車の大先輩、石原政雄さんが亡くなった。68歳だったと思う。
僕が石原さんに初めて会ったのは30年くらい前だから、
石原さんは38歳くらいのときに、僕ら高校生にサイクリングを教えてくれたことになる。

以来、缶チューハイの楽しみ方や男の手料理や、
サイクリングや山岳サイクリングや、
自転車メカやフレームのあれやこれや、
そして何よりも多くの自転車の先輩方を紹介してくれて、
今の僕がある。

そうだ、山海堂に入社できたのも、
山サイ研が執筆者だったときに
「こいつが編集を希望しているので、
ひとつヨロシク」と言ってくれた、と聞いた。

石原さんの人脈というか人望というか、は、
本当にそのネズミオトコのような外見からは判断できない、
立派なものだった。
今、お葬式をやったらおそらく、
NCTCを初めとするクラブラリー仲間や数多くの自転車仲間、自転車ギョウカイ、
各地の温泉宿や酒屋のおばちゃんなんかも来ちゃったりして、
それにかつてのお仕事(オオミチ電気)関係なんかも含めて、
壮大な宴会になること必定だったろう。

石原さんの声をはっきり思い出すことができる。
というか、忘れられないくらいに僕は電話をかけたのだ。
石原さんのくだらないギャグを思い出せる。
しぐさも覚えてる。
生きてるとしか思えない、

でも死んじゃったんだって。

石原さん、今夜はビールで献杯してる。
すぐ缶チューハイ買ってくるから、ちょっと待ってて。

寝ちゃったの?